【米国株式週間レビュー:3月23日ー27日】戦争の長期化を織り込む市場、そしてAI相場の見えない変化

投資

この週(3/23ー27)、米国株式市場はイラン戦争長期化懸念で引き続き下落し、金曜日時点でNYダウ、NASDAQ、NASDAQ100は直近の高値から10%以上下落し、調整局面入りとなっています。

概要&マクロ:市場は「発言」ではなく「現実」で動き始めた


今週の米国株市場は、明確に調整局面入りとなりました。

NYダウ -2.3%、S&P500 -2.0%、NASDAQ -2.6%、Russell2000 -2.1%と、主要指数はそろって下落しました。

NASDAQやNASDAQ100は直近高値から10%以上下落し、投資家心理は一段と慎重になっています。

最大の特徴は、市場の反応の仕方が変わったことです。

これまではトランプ政権の発言やヘッドラインに敏感に反応していましたが、今週は明らかに違いました。市場は政治的なコメントには反応せず、原油価格や戦況といった「実際に起きている事実」に基づいて動いています。

つまり、

マーケットは👉 「期待」ではなく「現実」を織り込み始めた

という段階に入りました。

1)マクロ環境|「勝っているが終われない戦争」

イランとの戦争は、軍事的には米国・イスラエル側が優勢です。核関連施設や軍事拠点の破壊も進み、当初の目的は一定程度達成されたと見られます。

しかし問題はその先です。

ホルムズ海峡をイラン革命防衛隊が事実上押さえていることで、米国は強硬な軍事行動を取りにくく、戦争は長期化の様相を強めています。

この構図は

👉 「勝っているのに終われない戦争」

であり、市場にとって最も不確実性が高いパターンです。

その結果、投資家の見方は

👉 短期決着 → 否定
👉 長期化 → 織り込み開始

へと変化しています。

2)原油・金利の状況:全てを決めている二つの変数
現在の市場は非常にシンプルな構造です。

・戦争 → 原油上昇
・原油上昇 → インフレ懸念
・インフレ懸念 → 金利上昇
・金利上昇 → 株価下落

実際に、原油価格は高止まりを続け、米10年金利も上昇基調を維持しています。

これにより利下げ期待は後退し、株式市場にとっては厳しい金融環境が続いています。

セクターの状況

原油価格高騰などを受けてエネルギーやマテリアルが大きく勝ち、ディフェンシブが相対的に強く、グロース系は金利上昇などの影響も強く相対的に軟調と、特性がはっきり出た週でした。

ヘッドラインでは戦争の話ばかりが目立ちますが、水面下でいろいろと大きな変化が起きています。

*セクター動向|戦争の裏で進む「AI相場の変化」

戦争の影に隠れているものの、今週は非常に重要な変化が見られました。

1)ソフトウェア株の下落

ソフトウェア関連は再び大きな売り圧力にさらされています。

背景には

① 金利上昇によるバリュエーション圧縮

② AIの進化による競争環境の変化

があります。

特にAnthropicのセキュリティ関連技術のニュースをきっかけに、エンタープライズ・セキュリティ企業にも売りが波及しました。

2)メモリー半導体の調整

さらに重要なのが、メモリー系半導体の下落です。

Googleの新技術により、メモリ効率が大きく改善される可能性が示されたことで、

👉 「AI=メモリ需要増」という前提そのものに疑問が生じています。

これは極めて重要な変化です。

結論:AI相場は「第2フェーズ」へ

これまでのAI相場は

👉 「AIだから全部上がる」

という単純な構造でした。

しかし現在は

👉 「どこが勝つのか」を選別する段階

に入りつつあります。

個別銘柄の状況:構造を見ないと負ける局面

原油価格の上昇・高価格の継続の影響もあり、シェブロン(CVX)がAll Time Highと引け値ベースの最高値を更新し続けています。

今週の値動きは単なる下落ではありません。

AI関連銘柄の中で

勝ち続ける企業
構造的に不利になる企業

の選別が始まっています。

特に

インフラ(GPU・クラウド)
アプリ・ソフト

の間で明確な差が出始めています。

今後は

👉 「AIに関わっているか」ではなく
👉 「どのポジションにいるか」

がリターンを決める時代に入ります。

 為替・原油・金|見逃せない3つのサイン

1)原油|市場の起点

原油価格の高止まりが、現在の市場のすべての出発点となっています。
この動きが収まらない限り、株式市場の本格反発は難しい状況です。

2)為替|160円台と介入の限界

ドル円は160円台に到達しました。

背景は

原油高による日本の貿易悪化
日米金利差の拡大

です。

この環境では、為替介入の効果は限定的であり、当局は口先介入にとどめる可能性が高いと見られます。

3)金|安全資産の変質

今週の注目点は、有事にもかかわらず金が下落したことです。

主な要因は

金利上昇
ドル高
ETFからの資金流出

ですが、より本質的には

👉 金が“リスク資産化”している可能性

があります。

さらに、トルコ中銀の売却報道もあり、中央銀行の買い支えが弱まるリスクも意識されています。

今後の見通し:本当に見るべき3つのポイント

今後の市場を考えるうえで重要なのは以下の3点です。

① 原油価格の動向

→ 高止まりなら株式には逆風

② 米長期金利(特に4.5%ライン)

→ 金利上昇=バリュエーション圧迫

③ 信用市場(プライベートクレジット)

→ アポロの解約制限など、流動性リスクが顕在化しつつある

結論

現在の市場は

👉 戦争相場ではなく「金融条件相場」

です。

そして同時に

👉 AI相場の再編(第2フェーズ)

に入っています。

短期的には不安定な状況が続く可能性が高いですが、
中期的には「次の勝ち組」を見極める重要な局面にあります。

後記

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